大判例

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東京地方裁判所 昭和42年(ワ)1257号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕<証拠略>によると原告らは亡ちようの兄弟であることが認められるが、兄弟は兄弟であることによつて当然に慰藉料を請求できるものではないことは、民法第七一一条が生命侵害の慰藉料について請求権者のなかにあげられていないことからみて明白である。従つて原告らが亡ちようの死亡によつて金銭の賠償にふさわしいだけの精神的苦痛を受けたものかどうかを個別的に判断しなければならない。

<証拠>によれば、原告堀はるは亡ちようの妹であるが昭和三〇年に夫にわかれ、昭和三八年に姉の子の訴外石井薫を養子としていたが事故当時五五才で、養子の堀薫の経営する中華そば屋を手伝つていたが、堀ちようもその中華そば屋を手伝つているので毎日顔をあわせて食事をともにし親しくしていたし今後も親しくしてゆく予定であつたこと、そして葬式も同原告がしていることが認められ同原告は本件事故によつて、多大の精神的打撃を受けたと認められるところ亡堀ちようの高令(注、満五六才弱)、その他本件にあらわれた一切の事情を考慮すると、慰藉料として七〇万円の支払を受けるのが相当と認められる。

その余の原告については、金銭賠償すべき精神的苦痛を受けたことを認めるに足りる証拠はないので、その請求は失当である。

慰藉料はその性質からして本来本人が受けるべきもので単に相続人であるからというだけでは慰藉料を認める根拠とはならない。かように解したとしても加害者には慰藉料を原告堀はるに支払いを命ぜられていることでもあり、加害者が不当に利得するというものではなく、公平の見地にも反しない。(浅田潤一)

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